日々のたより

9月22(日)、23(月・祝)の2日間にわたって奈良市で催されていたフォーラム「「農がはぐくむ こどもの食 こどもの命」」を覗きに行ってきました。
20数年ぶり(!)に降り立ったJR奈良駅は、再開発工事の真っただなか。工事中の道路と建物ばっかりで、宿のある通りへはどう行ったらいいのか、地図を 見てもわかりにくい。うろうろするうち目に止まったのは、やけに格調高い雅な建物。これが古い駅舎で、観光案内所として残されたのだとは、翌日、地元に住む 知人から聞いた話。真新しいデラックスステーションビルより目立っています。

古風な店構え、ひっそりとしたたたずまいの家並み、どこかおっとりとした風情で広がっていた空も、観光の古都として生まれ変わるため、ぐわんぐわんとシャッフルされて、数年後には活気にあふれた街並みへと変貌しているのでしょう。

有 機農業・自然農の生産者や八百屋、地域生協、オーガニックものを扱う店などが実行委委員会をつくって企画されたこのフォーラムのプログラムには、竹下和男 さんの「弁当の日」の講演も。何度聞いてもそのたび、心を揺さぶるあらたなエピソードが加わわって、またもや目の前がじんわりぼやけてしまったのでした。
講演の前には「親に手伝ってもらわないで”自分で弁当をつくって”会場に持ちよる」というプレイベントも。5〜6歳の子どもたちが「ひとりで作った!」と 小さな手を高く挙げる姿、赤い耳が一部ちぎれたうさちゃんリンゴや、ぎゅっと握られた拳のようなおむすび、スティック状に切った”だいすきな”キュウリな どなど、自分で詰めたランチボックスを開ける瞬間、きらきら輝く小さなシェフたちの表情のかわいらしかったこと。

暑い暑い奈良盆地から戻っ てきたら、東京の夜は半袖では寒いくらい。翌朝、掛け布団をまくり上げ、勢いよく足を伸ばしたとたん、ひんやりとした空気に触れて、寝ぼけ頭も一気に覚 醒。ラジオをつけると、きのうは最高気温が20℃を下回ったと言っている。あぁ、あの内側から外へとひたすら熱気を放出しつづけた夏という季節がほんとう に終わったんだと、一抹の寂しさとともに実感が深まった朝でした。