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2016年6月5日 発売

 

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6月10日発売
母親の過剰な愛情から自立しようと闘いながら、拒食症で18歳と7ヵ月の生涯を自ら閉じた高良美世子の創作と手記。現代にも通じる母娘関係を生きた少女の軌跡。

誕生カバー・帯付誕生を待つ生命
~母と娘の愛と相克

高良美世子 著
高良留美子 編著
高良真木 装画

本体価格:2500(税込:2750)円
ISBN:978-4-916110-75-6/四六判/上製/424ページ

解説日本のアジア侵略戦争への抵抗と挫折による鬱屈のなかで娘を溺愛、戦後、平和運動家として全力疾走する母親の変容に戸惑い、心に深い傷を負いながらも、自分の人生を生きること、世界と関わることへの強い意思を、「詩」「創作」「手紙」「日記」として表現しつづけた高良美世子。母の胎内からの精神的離脱をはかろうと苦闘するが、拒食症で18歳と7ヵ月の生涯を自ら閉じる。少女たちの拒食症の広がりや、母と娘の問題がクローズアップされる今日、関心をもつひとりでも多くの女性たちと、家族に本書を届けたい。

※摂食障害に苦しむ人やその家族をサポートすることなどを目的とした「日本摂食障害協会」の設立発表会が6月2日、東京都内で開催された。同発表会では、同協会の理事長である生野照子さんら有識者が登壇し、日本の摂食障害患者を取り巻く現状などについて講演した。

「私にとっては、こんな哀れなみっともない自分でも、たった一つの生命であるのです。それも誕生を待つ生命なのです」(1952年1月20日 中学3年) 
「『詩』これだけでよいです。たくみであるよりも、何よりも詩的であり、事実であることがのぞましいのです」 (1953年12月27日 高校2年)

『期せずして三姉妹の力を結集してできたこの本が、高良美世子が生きた「一個の叙事詩」として、生を愛した彼女の「誕生を待つ生命」の誕生につながることを願っている』~あとがき(高良留美子)より抜粋

著者:高良美世子
1935年11月から母・高良とみ(心理学者・政治家)の胎内でインドへ行き、詩聖タゴールとインド独立運動の父マハトマ・ガンジーの前に座る。1936年8月東京生まれ。幼いころ、当時の女性の先駆けとして孤独な道を歩いた母に溺愛され、父、姉妹との関係が疎遠になる。戦時中は学童疎開先で空腹に耐える。東京教育大附属中学時代、自分には時間がないと感じ、創作・作曲・絵画の道を模索し、音楽をこよなく愛した。成城学園高校時代には新聞部で活動したが、多忙な母の愛情を求め拒食症を発症、不登校になる。滞仏中の長姉・真木を慕い帰国を待ちわびる。「私は自由になろう」と手記を記す。1955年3月、睡眠薬を飲み発見されたが、肺炎を起こして死去。享年18歳。1958年、作品主体の遺稿集「春の雪-高良美世子遺稿」(高良真木編)が私家版で出版され、友人や親戚に贈られる。

編著者:高良留美子
詩人・評論家・作家。1932年12月生まれ。東京藝術大学美術学部、慶應義塾大学法学部に学ぶ。1956年、海路フランスへ短期留学、アジアの問題に目覚める。詩集『生徒と鳥』『神々の詩』など9冊の詩集、『高良留美子詩集』がある。評論集に『高良留美子の思想世界』全6巻、『世紀を超えるいのちの旅-循環し再生する文明へ』、フェミニズム批評『恋する女―一葉」・晶子・らいてうとその時代』『岡本かの子 いのちの回帰』『樋口一葉と女性作家 志・行動・愛』ほか共著多数。編著に『世界的にのびやかに―写真集 高良とみの行動的生涯』、共編著に『高良とみの生と著作』全8巻、高良とみとの共訳書に『タゴール著作集 第一巻 詩集I』等がある。幼年期の母との関係、疎開や空襲、航海については自伝的小説『発つときはいま』『いじめの銀世界』『百年の跫音 上・下』『時の迷路・海は問いかける』などに書いた。1952~55年の思索と表現をまとめた『わが二十歳のエチュード―愛すること、生きること、女であること』がある。第12回H氏賞、第6回現代詩人賞、第9回丸山豊記念現代詩賞受賞。1997年「女性文化賞」を創設。日本現代詩人会、日本文藝家協会、新・フェニミズム批評の会、日本女性学会、総合女性史学会会員。

「ふぇみん婦人民主新聞」No.3138の書評欄で紹介されました。
 (画像をクリックすると拡大され、読むことができます)
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