昼めし日記

2011年9月13日のメニュー

  • 野の扉のパン
  • モロヘイヤ入り卵焼き
  • トマト、玉葱、おろしキュウリのサラダ
  • 朝鮮カボチャと豆腐とワカメの澄まし汁


食いしん坊でも、”食わず嫌い”はあるんです

納豆に大根おろし、冷奴に生姜すりおろし、刺身に山葵、山芋・長芋のとろろ、擂りおろして揚げればむっちり別物に変身の蓮根、すりおろし牛蒡のポタージュスープ、サラダに人参、玉葱のすりおろし…と、すりおろせば香りと食感と好きな野菜をたっぷり味わえる。玉子焼きに入れる大根を大量にすりおろしていて、プラスチックとステンレス組み合わせタイプのおろし器ひとつ壊してしまうくらいだから 、“すりおろし”大好き派のうちにはいるだろう。

それなのに、たいていの人があれは美味しかった!と語る、リンゴのすりおろし(「風邪をひいたときにお母さんがつくってくれた」という思い出と結びついているようなのだ)は、長いこと敬遠してきた。なんだかあの爽やかな酸味におろし金の金属臭が移る気がするというだけのことだったが、これは50歳を過ぎてから、「風邪には林檎がいいの。毎日林檎1個、すりおろしてもいいしね」と大先輩に言われ、やってみたら、わ、おいしい! たんなる思い込みでしたね。その年は冬中、リンゴすりおろしを食べておりました。

もうひとつの思い込みが、キュウリ。江戸時代の料理書『野菜百珍』にも出てくるくらい、古くからあるし、私の持っている料理書にも出ているけれど、食わず嫌いでこれまで一度も自分ではやったことがなかった。それが、もう夏も終わりかと思いつつ、届いたばかりの野菜ボックスから顔を覗かせたまだまだ元気なキュウリが目の端に入り、ふとその気になった。

キュウリ1~2本のすりおろしなんて、あっという間のこと。手間もなにもというくらい簡単なのね。
スライスした玉葱の上に、この夏最後かなと名残惜しいトマト、手早くおろしたキュウリを盛ってオリーブ油を細く回しかけ、塩と酢を振る。
ずっとこのおいしさを味わいそこねてきたのか、悔やしい…というより いやいや、食わず嫌いの数十年を今この1本で取り戻した気分!というのは、負けず嫌い?

 

とろとろ粘り腰のモロヘイヤもよく食べました。

灼熱の国、エジプトから来て根づいたモロヘイヤもこの夏、大活躍。店頭ではそれほど安くはないけれど、野の扉からは毎週のように届いて、ふんだんに使わせてもらいました。33℃、34℃と続く暑さにからだがようやく慣れたかと思ったら、涼しい日と入れ替わってと、アップダウンが激しかったこの夏を乗り切るのにおおいに力を貸してくれたモロヘイヤが本日もフル回転します。

卵焼きには卵と同量くらい、ざくざくと粗みじんに刻んでたっぷりと。トッピングは黒オリーブを刻んで。塩水に漬け込んだだけの瓶詰めを明治屋で発見。種あり。これに包丁の腹を押しつけ、上から手で叩くと簡単に実から種を取り出せますよ、と、元料理雑誌編集者だったライターのKさんから聞いて以来、種取りはこの方式。

スープはズッキーニに似た韓国カボチャとワカメを具に塩味で。
この韓国カボチャ、見た目はズッキーニ似。味は日本の瓜に近い感じだけれど、煮てみると瓜よりコクがあり、かといってズッキーニともちがう独特の旨味。かなりイケマス。
これを、豆腐、ワカメといっしょに澄まし仕立ての汁に。

 

新しい工房が動き始めて、野の扉・ノラのパンも好調です。今週は、手のひらにのっかる大きさのかわいいバターブレッドと、食パン。いい具合に焼きあがって、ふわりとしていながらしっかりした食感で食べ応えあり。やたらと空気で膨らませたパンと違って腹持ちがいいのもうれしい。