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雑草の生命力使い切る(日本農業新聞 2004年8月29日)
読者の強い要望に応えての改訂新版。草や野菜を使いこなす知恵がさらに充実しましたね。
銭かねじゃない。何もないところで生きていける力を付ける。これがこれからのテーマだと思うの。何が一番強いかって、雑草の生命力にかなうものはない。草原に寝転ぶだけで、疲れた体が楽になるでしょ。
生命をね、全部生かし切る、おしまいまで使い切る発想が大事だと思う。例えばトウモロコシなら、皮はこんなふうに乾かして細く裂いて、なうの。これがわらより強いんだわ。ひげはせんじてぼうこう炎に、実は乾燥させれば、冬場でもコーンスープにできるし。
最近、女性の体に異変が起きていますが。
今の人は冷房で冷え過ぎなの。これが子宮に影響してる。体を温めて細胞から冷えを取らなくっちゃ。あったかくしなきゃ、子どもはできない。
家に帰ったらヨモギのお風呂に入ったり、煮詰めてお茶として飲んだり、葉をもんで肩や腰にあてがったり。医者の薬よりずっといいのよ。
男は女の体のことをもう少し分かって、守ってほしい。夜、お互いさすり合ってさ。10分もしたら血流が良くなるし、ストレスも抜けていく。そうすれば女はもっと働きやすく、社会もとげとげしくなくなるでしょう。
中国ではアパート住まいの人が、代々受け継いだお茶の木やササゲ、ハーブやアロエなんかの鉢植えを持って転居するんですって。自分の体は自分で守るってこと。
55歳で有機農業を始めたそうですね。15年間の実践で見えたことは。
子どもたちを独り立ちさせ、親をみとってから県北の開拓地に入ったんだけど、極限でも生きられることを学んだのが何よりの財産。考えながら物を見る力を鍛えてどん底からの再生力を得た。私はね、小さいころから理屈抜きで、物にも生命があると思ってたの。布切れ1つでも一緒に生きていきたい。丁寧に緻密(ちみつ)にリサイクルをする生活は、循環と還元の農業でこそ実現すると思う。
生きにくいこの世の中を生き抜くには。
日本人の反応が徐々に緩くなっている感じがする。テレビ漬けで考えない人が多くなったし。とにかく何でも一辺倒はだめ。日本は敗戦から59年間、アメリカ一辺倒で来たでしょ。農業でも家でも何でも大きく、新しくって、機械と金に仕事させて。このことで精神も含め日本の生活文化をどれだけ壊してしまったか。人間の体に対する考え方も一辺倒になってしまった。
体は宇宙そのもの。一人ひとり違う。危険を察知して予防する鋭利な感性を自分で磨かなきゃ。私は脳梗塞(こうそく)が自然に治った。薬草のおかげじゃないですか。
人間なんて地球の異物。お邪魔にならないよう、草や野菜の中にある薬の部分をもらって生きる。次の世代が希望を持てるよう、1本の薬草から生活の立て直しのために勉強しましょ。
生活の知恵 大幅加筆(岩手日報2004年9月4日郷土の本棚)
糖尿病に悩んだら、ヨモギのお茶を飲めば糖が出なくなるよ。胃が痛いときは、その辺に生えているハコベの葉を生のままかんでればけっこういいんだよ…この本には、そうした生活の知恵がいっぱい詰まっている。
世は健康ブーム。いわゆる「健康本」はちまたにあふれている。だが、この本がそのたぐいと一線を画すのは、生活の知恵一つ一つが「土とともに生きる」思想に裏打ちされている点にある。
ふみさんは言う−「体の痛みの声に耳を澄まして。身近な野草を上手に使って」。語り口は優しい。だが、食や医療が日常から切り離され、身近な自然を生かすすべを知らず、氾濫する「何とか健康法」に右往左往する現代人にとって、その声は厳しくも聞こえる。
ふみさんは一戸町小鳥谷生まれ、盛岡市在住の八十歳。戦前から今に至るまで、生活を切りつめながら、農民の声なき声を記録する文集「むぎ」を発行してきた。農民とともに考え、怒り、泣いた。聞き書きの達人だ。
だから、野草のさまざまな効能も「集まりっこ」の中で自然に覚えた。文章に耳を澄ましてみよう。すると、幾世代にもわたり連綿と語り継がれてきた「ばあちゃん」たちの声が聞こえてくるはずだ。それは粗野でおおらかで、あくまで温かい。
新版にあたり、大幅加筆に加え、気鋭の写真家落合由利子さん(埼玉県)によるふみさんのポートレートも収録された。
その中の一枚。本や手紙や野草が所狭しと積み重なる自宅居間で、ちゃぶ台の前にちょこんと座るふみさん。
生活の辛酸が刻んだしわを手に顔に刻み、しかしまなざしは優しい。いかにも「岩手のばあちゃん」だ。 |