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TOP > 日々のたより>2005年5月17日

日々のたより

自宅出産物語2 
歩いて歩いてその先に来るはずの大事な日

 家で産むと決めたのはいつだったかなあと思う。 出産に関しては耳年増になっていたから、前から「自宅出産したい」と頭で考えてはいた。ちょうど小さな小さな古い家に引っ越した年で、庭にかぼちゃを這い回らせたり、大好きな鉄線を植えたりとずぼらな私ながらも楽しみ始めたところだった。梅干しを干すと庭中が梅の香りでいっぱいになって、梅と一緒に日光浴したりした。ここで産もうと決めてなんの迷いもなかったのは、この家のせいもあるかもしれない。
 お産が近づくととにかく歩いた。妊娠中は無理がきかないから、疲れてゆっくり休む日もあったが、いつもは歩かない私につれ合いは「赤ん坊のためなら歩けるんだ」とよく笑った。私は体力に自信がなかったから、無事に産みおとす力があるのどうか、そこがとにかく心配だった。歩いて歩いてその先に来るはずの大事な日。それを思うと、歩くのは本当に祈りのようなものだった。
 それでも、臨月近くなると、体重はずんずんと情け容赦なく増えた。それまで順調順調と気楽だったのが、気をつけているつもりでも、すぐに体重が増えたりむくみが出たりするのだ。これにはほんとうに参った。助産婦さんに教わった実母散やラズベリーの葉のお茶を飲んだり、お灸したり、ヨガをやってみたり。私はもう毎日必死だったように覚えている。けれど、同じ頃、白菜を漬けて日向でにやにやしている写真が出てきたり、「あの頃一番体調よさそうだったよね」と言われたりする。そうだったかなあ…
(おがわなおこ)

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