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TOP > 日々のたより>2004年12月23日

日々のたより

赤ん坊とふたりだけの夕暮れ時
「愛しのエリー」で泣いてましたっけ


 「わたしたちは、寂しいお産は絶対にさせません。(妊婦の)そばに付き添っていることがいちばん大事だと思っています」。昨年10月1日、取材下見のためにおじゃました矢島助産院(東京都国分寺市)の「Magiwaの会」。Magiwa=出産間際=臨月の妊婦さん9名が参加していた。院長の矢島床子さんのこの言葉は、間もなくお産を迎える彼女たちの不安を間違いなく軽減したことと思う。
 13年前の私のお産にも「寂しい」が時おり訪れて、シクシクめそめそモードに浸っていたこともしばしば。その頃の日記を、「これが証拠よ!」とそのうち連れ合いにぶつける気は毛頭ないのだけれど、なぜか手元においているあたり、執念深くその頃の「寂しさ」を引きずっているのかもしれない。虐待とか、心中とか、私には接点なし、とはとても言い切れない。蜂蜜漬けのレモン持参で駆けつけてくれた友人に見守られ、無事産んだ後は4人の助産婦さんたちも交えて出前の鍋焼きうどんをすすった自宅出産は、ぜいたくな時間だったのだけれど。
 ともかく、赤ん坊は思う通りにならない。そして、連れ合いは、子持ちにはなったものの、身体的変化を経験していない分、身軽でかつ心も軽い。産後3週間目の日記を恥ずかしながら、ご披露すると…。
 「今日から床上げして、私も普通に寝巻きでなく過ごす。右のおっぱいが明け方からだんだん腫れてきて痛みが強くなってきた。Kは7時過ぎに会社を出ると言っていたのになかなか帰ってこず、ようやく8時の夕食。『一歩も外に出なかったの?』と言われ、『そんなヒマなかった』とベソをかいてしまった。待つことのしんどさを覚える」
 赤ん坊とふたりだけの夕暮れ時。日が落ちてだんだん暗くなってくる部屋で電気もつけず『ふぞろいの林檎たち』再放送にラジオのチャンネルを合わせ(その頃うちにはテレビがなかった)、主題歌「愛しのエリー」が流れてくるとなんだか泣けてしかなかった。
 それから2年半後。「『かあちゃんいないかなって、そーっと歩いてたの』と、台所に顔をのぞきに来る」…娘が1歳になった頃から和紙のノートに筆ペンであらためて綴りはじめた日記からは、愚痴は消えて、書き止め、描き止めておきたい娘の姿でいっぱいになっていった。仕事を目一杯できないもどかしさはあっても、子どもはひたすら可愛くてまぶしくて。
 
矢島助産院の管理栄養士・岡本正子さんが講師を務めてきた「食の講習会」のレシピをまとめた『自然なお産献立ブック』が間もなく完成する。お母さんたちにこの時期をおおらかに過ごしてほしい。孤独にならないように。岡本さんも担当のフリー編集者・山家さんも、編集部の私も共通する想いがある。
「岡本さんのご飯を食べると身体が軽くなるんです」矢島助産院のスタッフが言う通り、妊婦さんでなくても、持っていて損なし。男性のみなさまもぜひこんな料理でパートナーの荷を軽くしてあげてください。(2005.1.14/山木美恵子 編集部)

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