| TOP > 日々のたより>2004年12月23日 |
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イカウシの森に暮らして(4)
蜂さんのお世話で盛りあがるアガペチーム
気分だけは本格的だが、結局、ミツバチはカワイイ、という実感以外なーんにもわからないまま、初夏には箱ごとミツバチが約4万匹、イカウシにやってきてしまった。どうする!
ちょうどその頃、私は東京で展覧会の予定が入っており、そのための制作に時間を取られていて、実質なにもミツバチの世話らしきことはしていない。蜜蜂を決死の覚悟で車に積んで走ったのも、重たい蜂箱を運んだり、設置したり、どんどん増える蜜蜂たちの新しいおうちを作ったりしたのも、私の「蜜蜂カワイイ! 犬より手がかからない、だって毎日散歩しなくていいし、遊んでやらなくてもスネないし、ゴハンは自分で運んでくるし、おそうじだって自分たちでするんだよ、しかもおいしい蜂蜜が採れるなんて夢のよう!」という口からでまかせを信じたお友達たちである。筆頭がうちの隣でタマゴ屋をしているアガペ父さん。北大水産学部では養蜂の授業があったんだろうか、まさか。でもやけに詳しい。
まるで養蜂をやったことがあるみたい。すっかり頼る気になり、一番ノリもよかったんで、どんどん雑用に使ってしまった。そして今、うちの隣に自宅と工房を建てている木工作家のカーイさんとカナコちゃん。几帳面なカナコちゃんは記録係。(私の記録は感想とよしなしごとだけでぜんぜん約に立たないのだ)蜂箱は全部カーイさんの手造り。木風舎オリジナルである。屋根はやっぱり三角屋根がカワイイ、なんて私が言うもんだから、木工作家の威信をかけて素敵なおうちを作ってくれた。そして一番被害を被っているのがパン屋の麦さんである。ホントは虫なんかキライなんだな、彼は。だけど来ちゃったものは仕方ない。嬉しそうにさわいでいた私は東京に行っちゃった。ため息をつきながら巣素と呼ばれる、蜜蜂の巣の元になる蜜ロウの板を用意したり、巣箱をバーナーで焼いて消毒したり、の日々。そのうちのめり込み、自分のためにひと夏かけて自分で建てた小屋(通称コロちゃんハウス)を蜂の道具や蜜を搾る採蜜器(カンタンな手動の遠心分離機)を入れておく蜂部屋にしてしまった。 本格的な花の季節がやってきて、このメンバー、プラス私が全員白いツナギに面布(蜂に刺されないように頭からかぶる網みたいなの)という姿であたりを歩くようになると、ちょっとした村の話題になった。車で通りかかった近所のイギリス人ファーマー、フレッドがわざわざ車から降りてきて「ハッパちゃん、これはなんかヘンなシューキョーみたいね、あやしいよ」というのである。もちろんイギリスの田舎者のフレッドは養蜂家を身近に見ていただろうから私たちが何をしているのか知っているのだが、ふざけているのである。イギリスでは中学や高校に「ビークラブ」というものがちゃんと存在するという。つまり、「体育会ハチ部」である。いやホントに体育会なんだから。肉体労働ばっかりで。フレッドが「ヘンなシューキョー」を連発するので、「ヘンな外人、仕事に遅刻するヨ」と言ってやったら時計を見て急いで走り去っていった。わからないなりに、何だか楽しく始めてしまったイカウシ「ハチ部」は、その後、どんどん発展してしまいうれしいやら困るやらなのだが、そのお話は次回また。お楽しみに。 (2004.12.23/花房葉子『カムイブロートの食卓』著者)
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