| TOP > 日々のたより>2004年11月19日 |
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天音堂ギャラリーに吹く風
2003年10月、娘の名前を付けた「天音堂ギャラリー」が完成しました。私たちが天音のメモリアルルームを作ろうと思い立ってちょうど1年が過ぎていました。何をする気力も失せていた平明も、この思いつきには、悲しみで凍り付いていた気持ちが少しずつ溶けてくるようでした。
私たちはこう考えました。メモリアルルームはわが家の一室に作るのではなく、天に会いたいと思った人が気軽に訪ねて来られるように、住まいとは別の場所にしよう。天音のお墓のようなものだから「天音堂」と名付けよう。天音の絵だけではなく、いろんなアーティストの作品も見てもらうようにするのはどうだろう。思いは膨らみ、ふたりの心に天音が生きていた時のような賑わいが戻りました。
紆余屈折を経て、住まいから歩いて2,3分の小さな部屋を手に入れて、友人の建築家に頼んで真っ白な壁面を持つ、靴をぬいで上がる画廊を作りました。メモリアルルームに必要な天音の祭壇は、ベランダへ出るガラス窓の横の壁面に置きました。隠れ家のようなメモリアルルーム、そして、祭壇のある画廊ができあがり、私たちは感無量でした。
10月16日(天音の命日)「天音堂ギャラリー」は「天音amane」画文集の絵を中心に私の展覧会でオープンしました。その時の気持ちを案内状にこんな風に書きました。
「『天音堂ギャラリー』を作ろうと考えた時、もう一度天音を抱けるかもしれないと思ってちょっとわくわくしました。そこは、普通のマンションの六階。それなのになぜかとても居心地がいいのです。なんにもものがないからかもしれないけれど、それだけではなく、たしかに風が吹いています。そうっと、かろやかに。天音のいのちの風かなあ〜。表現するっていのちを吹き込むことだと思っています。だから、表現者たちの作品をギャラリーの壁面に飾ったら、やっぱり静かに、そっといのちの風を発し続けるだろう」と。
天音が亡くなった今、私はいのちのことをやっていきたいと願っています。それがどんなことか言葉にはできないけれど、ひとりの少女の生きたあかしとして「天音堂ギャラリー」をやっていけたら―。ここには、天音と表現者たちのいのちの風が吹いています。
(2004.11.19/山口ヒロミ『天音amane』著者)
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