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TOP > 日々のたより>2004年10月2日

日々のたより

コワさがじわり迫ってくる『アトミック・カフェ』

 何気なく映画情報を見ていて、『アトミック・カフェ』(―“原子爆弾カフェ”)のタイトルにあっと驚いた。『ボーリング・フォー・コロンバイン』に続いて、いま世界中の注目を集めている映画『華氏911』の監督マイケル・ムーア氏が若いころ、ドキュメンタリー映画の手法について教えを乞うたケヴィン・ラファティ監督の作品とのこと。1982年の作品なのだが、実は83年に日本で自主上映されていて、私も観た記憶がある。しかし同名の違う作品かもしれないなどと思いつつ劇場に行ってみた。ディレクターズカット版とのことで初公開時とは多少違う内容になっているようだが、確かに同作品だ。
共産主義圏と核開発競争をしていた1950〜60年代に米国で作られていた10,000本もの国家によるプロパガンダ映画フィルムをつなぎ合わせ、ナレーションを一切加えず編集のみで、ブラックユーモア満載、痛烈な風刺が効いた作品に仕上がっている。核攻撃への不安感を煽る膨大な量の情報がメディアを通じて流され、全米に吹き荒れた疑心暗鬼のアカ狩り旋風。”自由”を旗印に掲げる国で個人が孤立させられていく。観終わってコワさがじわりと迫ってくる。
83年に、アトミック・カフェ上映事務局というのが作られて、翌年上映の『ダークサークル』(こちらは監督は違うが、やはり82年にアメリカで上映されて以来、全米各地で絶賛され、アカデミー賞等多くの賞を獲得した)と共に、フィルムが全国を回っていたはずである。当時発行していた雑誌『自然食通信』でも『ダークサークル』のほうは紹介記事を載せている。
『ダークサークル』では、科学的な説明何ひとつなされないままネバダやニューメキシコの核爆発実験の現場に動員されるれる黒人、先住民兵士たちや、放射性物質を扱う労働者たちのその後を追い、猛毒の放射性物質プルトニウムを扱う兵器工場の労働者やその家族が、「平和」のための核「原発」と「戦争」のための核「原子爆弾」との間に潜む「暗黒の連鎖」と向き合い、地域の人たちとの住民運動に参加する姿が描かれる。     ところでこの『ダークサークル』のほうのフィルムはどこにしまわれているのだろうか。
雑誌『自然食通信』が休眠状態に入ってからもう8年にもなるのだけれど、いまだに掲載された記事についての問合せをいただいたり、初めてお会いした方から「読んでいました」と言われたりして、ありがたい気持ちと再開できないままきてしまった後ろめたい気持ちが入り混じるのだが。こんな思いがけない発見もありますねえ。(2004.10.2/横山豊子)

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